ドッグマッサージ 健康

現役ドッグマッサージセラピストが教えるお家で簡単ケアとそのメリット

アバター画像

mika

自身の愛犬のイタリアングレーハウンドをマッサージに通わせていたところから、ドッグマッサージの魅力と素晴らしさに気づき勉強を始める。 2022年10月にドッグマッサージセラピストの資格を取得し、現役セラピストとして2023年3月より活動開始。2023年4月から1年間、ドッグマッサージ専門サロン「ドギー・ケア和NAGOMI」を経営し、パピー犬からハイシニア犬まで200頭以上の犬を施術した経歴がある。 現在は「飼い主さんと一緒に愛犬をケアする」をテーマに、出張マッサージ施術やマンツーマンマッサージレッスン、オンラインマッサージレッスンを展開中!

最近、注目を集めているドッグマッサージ。わんちゃん関係のイベントやSNSなどで見かけたことはありませんか。マッサージを受けているわんちゃんの気持ちよさそうなお顔を見て「興味がある」「うちの子に受けさせたい!」と思った方もいるはず。

そこで今回はは、ドッグマッサージのメリットとお家でも簡単に取り入れられるドッグマッサージのケアの方法についてご紹介していきます。

ぜひ最後までご覧くださいね。

ドッグマッサージを行う犬にとっての5つのメリットとは?

ドッグマッサージのメリットはたくさんありますが、大きく分けると「犬にとってのメリット」「飼い主にとってのメリット」があります。まずは愛犬へのメリットについて紹介していきます。

血流改善

ドッグマッサージの最大のメリットは「血流改善」です。血流が改善されることで筋肉がほぐれやすくなったり、内臓の働きが良くなったりと様々なメリットがあげられます。体全体もぽかぽかしてきて、冷え性の改善にも役立ちます。

また、見た目でわかることは「むくみの緩和」や「毛づや改善」でしょう。皮膚のもたつきが小さくなったり、ごわごわしていた毛の流れが整って手触りが優しくなったりする効果が期待できます。

筋肉が解れて体が使いやすくなる

筋肉を優しいタッチで揉むことによって、筋肉がほぐれて体が使いやすくなります。筋肉が解れると可動域が広くなって、歩幅が広くなったり、歩きやすくなったりするのです。

特にアジリティやディスク、ルアーコーシングなどのドッグスポーツをしているわんちゃんはパフォーマンスの向上も期待できます。

免疫力の向上が期待できる

マッサージを行い、血液の循環が良くなることで内臓の働きが活性化されます。内臓の働きが活性化されることで免疫力の向上が期待できます。

リラックスホルモンの分泌

マッサージを行うと、リラックスホルモン(別名「幸せホルモン」)が分泌されます。代表的なものは「セロトニン」と「オキシトシン」。セロトニンは精神安定、自律神経の調整、ストレスを軽減させる働きがあります。

オキシトシンは主に、ふれ合いやスキンシップによって分泌されます。マッサージで「心地良い」「気持ち良い」と感じることがオキシトシンの分泌に繋がるのです。

治療中の病気や怪我の早期改善のサポートが期待できる

マッサージは治療中の病気と並行して行うことができます。薬の副作用を緩和したり、治療中の痛みを和らげたりし、治療中の病気や怪我の早期回復のサポートに繋がります。

※ただし、持病がある子で、特に炎症や腫瘍を抱えている箇所があるわんちゃんは、マッサージをすることで逆に悪化を招いてしまう場合もありますので、かかりつけの獣医師の先生と相談されることをおすすめします。

ドッグマッサージのメリット~飼い主にとってのメリット~

ドッグマッサージは犬だけでなく飼い主にもメリットがあります。その1つがQOLの向上。QOLとは(Quality Of Life)の略で、日本語で言うと「生活の質」という意味です。

ドッグマッサージを生活に取り入れることで、飼い主さんのQOLの質が向上します。ドッグマッサージを通して、「愛犬の体が今どうなっているのか」、「お家でできることは何か」「生活の中で取り入れるべきこと」などを知る事ができるでしょう。

その結果、愛犬に対する飼い主さんの観察力が磨かれるはずです。そして、飼い主さんが「愛犬の病気や怪我を予防するためのより良い生活を送ろう」という意識に繋がることが期待できます。

また、マッサージで飼い主さんと愛犬が触れ合うことで信頼感関係を深めることが期待できます。目には見えない「気の交換」が行われるのです。この「気」とは東洋医学で言うところの「やる気」「元気」「活気」などを表す「気」のことで、私達や犬達の健康には欠かせないものです。

気の交換を通して、愛犬に飼い主の元気を分けてあげたり、感謝を伝えたりすることで愛犬との信頼関係がますます深まっていくはずです。

ドッグマッサージで愛犬をケアしよう|マッサージを行う前に知っておくべき事

ドッグマッサージを行うことのメリットはわかっていただけたと思います。しかし、「どうやって愛犬をケアしたらよいかわからない」、「専門家じゃないとケアを取り入れるのは難しい」と思っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、お家でも簡単に取り入れられるマッサージの方法についてご紹介していきます。この記事を読んで注意点に気をつけ、解説する手順通りに行えば、今日から誰でも愛犬さんにマッサージを行うことができるはずです。

ドッグマッサージは人間のマッサージに比べて「優しい」「ゆっくり」という特徴があります。犬の筋肉というのは驚くほど簡単にほぐれるので、その分、力加減などに気を付けないと愛犬の体を痛めてしまったり、トラウマの原因となってしまったりします。

愛犬のために行ったはずのマッサージで信頼関係を壊すことになっては本末転倒。そのようなことにならないよう、以下にお伝えする注意事項を守ってマッサージをおこなうようにしてください。

体に触れる力加減はとにかく優しく

わんちゃんの体はとにかく優しく触りましょう。風船をわれないように持つイメージです。力を入れる目安は体重10㎏くらいまでの小型犬で150~200g程度、25Kgくらいまでの中型犬で200~300ℊ程度、25㎏以上の大型犬で300~400ℊ程度です。

測りなどを用いて実際の指圧の加減をチェックしてみてください。ただし、この数値はあくまでも目安なので、愛犬の表情やリアクションを確認しながら調整してください。体の硬いところは無理に力を入れずに優しい力で何度か繰り返して触れるようにしましょう。

愛犬の表情をチェックする

わんちゃんがゆっくりまばたきをしていたり、じっとして動かなかったりしているときは「気持ち良い」と感じてくれている証拠です。「気持ち良いね」「上手だね」など、優しく声をかけながらスキンシップを深めていってください。

一方、急に起き上がったり、目を見開いたり、飼い主さんの手を噛もうとしてきたりしたら力加減が強いのかもしれません。体に触れる力を弱めたり、タオルやブランケットを体にかけたりして敏感さを取り除いてあげましょう。

それでも触られるのを拒む場合は、何かしらのトラブルが起きているかもしれません。嫌がりが強い場合はかかりつけ医の先生に相談して診察をしてもらうことをおすすめします。

ゆっくり行う

マッサージは「自律神経を調整」という作用があります。自律神経はゆっくりしたタッチでマッサージを行うことで整いやすくなります。逆に、早いタッチになってしまうと興奮を促すことに繋がったり、緊張がより高まったりするリスクがあります。

結果的に「触られるのが苦痛」というトラウマに繋がったり、「触られるのは興奮して良い」というご学習に繋がったりするリスクがあるのです。

特に興奮・緊張しやすいわんちゃんにマッサージを行う際にはペースをわんちゃんに合わせすぎないことも大切です。「ゆっくりじっくり」をキーワードに、マッサージを行うようにしてください。焦りは禁物です。

お家で簡単にできるドッグマッサージケアの手順

ドッグマッサージで愛犬の体に触れる箇所は「全身」です。全身をくまなく触ってあげましょう。

わんちゃんの体は四つ足の構造をしているため、前側がよく使われていて張りやすく、後側は使われにくく張りやすいという特徴があります。前側と後側の普段使われている重心バランスの割合が7割対3割ぐらいの割合です。

つまり、後側は普段使われにくくて硬くなっているわんちゃんが多いので、敏感な子が多いのが特徴。ですので、前側からほぐしていくのが良いでしょう。

前側で一番よく使っているのが「肩」、次いで「首」です。「背中」「腰」も様々な理由から硬くなっている子が多いです。体を支えるために「胸」「腕」も使っています。したがって①肩→②首→③背中・腰→④腕→⑤胸の順番にほぐしてあげると、わんちゃんがよりリラックスしてマッサージを受けられます。

一方、後側でよく使っているのが「お尻」、次いで「もも」「ふくらはぎ・足首」です。したがって、①お尻→②もも→③ふくらはぎ・足首という順番でほぐしてあげるのがおすすめです。

後ろ足は体を支えたり、歩くとき・走る時に使われる強い筋肉がついているので、しっかりほぐしたり、衰えている子は刺激して使いやすくしてあげたいです。

最後にお腹のマッサージもしてあげましょう。お腹のマッサージはお腹の調子が悪い子の調子を整えることはもちろん、ホルモンバランスの調整や腰痛改善、ガスだまり改善などの様々な効果が期待できます。

ではマッサージの注意点や手順を確認したところで、実際に愛犬に触れていきましょう。

step
1
手のひら全体を使ってブラッシングをしていくように前側から触れる

 

 

血流が流れるのをイメージしながら「外側へ」または「下へ」なでるように触れていきます。下記画像の青い矢印の方向に触れていきましょう。

step
2
前側と同様に後側も触れていく

後側のももは外側・内側両方触れてあげましょう。

足首など細いところは手全体で包むように触れてあげて下さい。※ぎゅっと掴みすぎないよう気を付けましょう!

肉球は手のひら全体を包むようにして触ります。肉球が敏感な子は手の甲で触るところからチャレンジして下さい。

後側も前側と同様に青色の矢印の方向へ触れていくのを意識しましょう。

step
3
最後にお腹のマッサージ

最後はお腹のマッサージです。『の』の字を書くように優しく触れてあげて下さい。

ゆっくり行うと10~20分くらいで全身のマッサージが完了します。毎日のケアはもちろんのこと、疲労回復の目的として、長時間お散歩に行った日やドッグランで走った日、お出かけをして帰ってきた時などにはぜひ行ってあげてください。

お家で出来る簡単ケアのまとめ

今回はドッグマッサージのメリットとお家でできる簡単マッサージケアについて解説していきました。

ドッグマッサージは愛犬の血流改善、筋肉のほぐれ、免疫力向上、リラックス効果など、愛犬にとって多くのメリットがあります。同時に、飼い主さんにとっても、愛犬との絆を深め、生活の質(QOL)を向上させる素晴らしい機会となります。

お家でドッグマッサージを実践する際は、優しさとゆっくりとしたペースを心がけることが大切。愛犬の反応を注意深く観察しながら、力加減を調整して下さい。

継続することで愛犬との信頼関係がさらに深まり、愛犬の体調の変化にも気づきやすくなります。ドッグマッサージを日々の生活に取り入れることで、愛犬との時間がより豊かなものになるでしょう。

愛犬のために、そして飼い主さん自身のために、ぜひドッグマッサージを始めてみてください!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
アバター画像

mika

自身の愛犬のイタリアングレーハウンドをマッサージに通わせていたところから、ドッグマッサージの魅力と素晴らしさに気づき勉強を始める。 2022年10月にドッグマッサージセラピストの資格を取得し、現役セラピストとして2023年3月より活動開始。2023年4月から1年間、ドッグマッサージ専門サロン「ドギー・ケア和NAGOMI」を経営し、パピー犬からハイシニア犬まで200頭以上の犬を施術した経歴がある。 現在は「飼い主さんと一緒に愛犬をケアする」をテーマに、出張マッサージ施術やマンツーマンマッサージレッスン、オンラインマッサージレッスンを展開中!

-ドッグマッサージ, 健康